旅の心理学:集団か個人か、決断の裏にある真実

花儿与少年第1季第4期(Divas hit the road Season Ⅰ)

【ルール】
・テーマは「トスカーナ」編

【観光場所】
・サンジミアーノ

【学べること】
・課題解決
・集団行動VS単独行動
・旅の目的

【意識すべきこと】
・選択する
・提案する

差別化】
多くの人は、サンクコストのワナにはまる。グループで行くなら集団行動をすべき、単独行動は自分勝手だと思う。旅行の目的はリフレッシュ、美味しい料理を食べる、ストレス発散である。

あなたはどうしますか?

【考えると良いこと】

前提条件
「状況」
毎日の生活費が限られている・未知の土地・自国の言葉が通じない環境
「人」
異なる世代で構成された組織
「獲得したいもの」
ルーティンから脱却した幸せな生活
新しい経験
新しい人間関係の構築
コミュニケーションの重要性

【注目すべき焦点】

1.サンクコスト

サンクコストとは、もはやもう回収できない費用のことです。わかりやすく言ってしまえば「もったいない」と考えることです。例えをいくつか挙げてみましょう。期待して楽しみにしていた映画がありました。上映時間は2時間です。1時間見たところ、ちっとも面白くないと感じました。途中で中座しようと思いましたがチケットを2000円払ったことを思い出しました。2000円払ったからにはすべて見ないともったいないので、ストーリーはつまらなくても最後まで見ることにしました。これはサンクコストのワナです。

経済合理性を考えたら、つまらないと思ったら退出し、他のことに時間を費やすことです。別の面白いことをすれば、満足できる時間を過ごせるかもしれません。どっちにしろ、せっかく払った2000円は帰ってこないのだから。

次の例もサンクコストの典型例です。ある男友達には彼女がいます。ただ、彼女は浮気性の女性で、浮気を繰り返していました。彼がそれを見つけるたびに、彼女は彼に許しを請い、最終的に許されます。周りの人たちは彼に別れることを勧めるにもかかわらず、彼はそんな彼女と別れられません。その理由を尋ねると「彼女と出会って付き合うなかで、多くの時間やお金、エネルギー、愛情を費やしたんだ。いま別れてしまうと、それらがもったいないような気がするよ」といいました。

こんなのもサンクコストの例です。もう何年も着ていない洋服がタンスに眠っています。おそらく今後も着ることはないでしょう。ならば捨ててしまえばタンスのその空間が空くにもかかわらず、わざわざ捨てずにとっておいてしまう。なぜなら、買ったときその服は高かったからです。

わたしたち人間はどうやら、時間、お金、エネルギー、愛情にたいしてたくさん注ぎ込むと、それを続けなければもったいないと思い込んでしまうらしい。なぜなら、自分自身の損失を認めたくないからです。自分自身を正当化するためです。だから、自分で意志決定したことには最後まで一貫した行動を取ろうとしてしまうのです。

自分で決定したことから、いつでも外れていいはずです。もはやそっちのほうが合理的な判断や行動ができているということになる。

わたしたちは生活のあらゆる面で「ここまでやってきたんだからいまさらやめるわけにはいかない」とか「今までなんのために頑張ってきたんだ。ここでやめたら努力してきたことがすべて無駄になってしまうと考えがちです。

では、この番組で起きたサンクコストはどんなものだったのでしょうか。それは車の運電にありました。海外旅行でレンタカーを借りました。目的地に行くのに5時間以上経っています。太陽が照り光っている真っ昼間に出発したけど、ときはすでに夜の9時でした。なんと車のトラブルが発生しました。ボンネットから白煙が上がり始めました。もしかすると、発煙のリスクあるかもしれません。

この急なトラブルに対して、どう対処するのでしょうか。スタッフにヘルプを求めて、リスクを最小限に抑えることも考えられます。そこでまず仲間たちは、運転手に運転をやめるように促しました。これ以上運転して万一車が炎上したらどうする?と考えました。しかし、その運転手は自分の力でやろうとしました。そして、彼はこう言いました。

「これまでの俺の努力を無駄にするのか?」

まさにサンクコストのワナです。幸い、そのあと運転しても車は炎上せずに済みました。彼は自分がそれまで何時間もかけて運転したにもかかわらずスタッフに助けを求めるのは、もったいないと思ったのです。しかし冷静に考えてみれば、彼がこれまで長時間をかけて運転してきたことと、発煙のリスクがあることは何ら関係がないわけです。「俺がこんなに長時間かけたのだから今さら引き下がるもんか」という考え方は、非合理的な判断なのです。

2.集団行動か?単独行動か?

まず、番組内で旅行中にこのようなことが起こりました。ある観光地に向かった7人の集団。そこで、景色を見て記念撮影をしたい5人と、ストリートミュージシャンが奏でる音楽を聴いて見ていたい1人の少数派(かつ一番歳下)にわかれてしまいました。残る1人は多数派から「あの子を連れてきなさい」といわれ、少数派からは「僕のことは放っておいていいから」といわれ、板挟みになってしまいました。最終的には彼を引っ張って、記念撮影をみんなですることに成功しました。しかし彼は記念撮影が終わってそそくさとストリートミュージシャンのところへ戻ると、すでに音楽を弾き終わったようで姿を消してしまいました。

旅行中にこういう状況に出くわしたとき、あなたならどうしますか?

この話の焦点は、好きなことがみんなと違ったり、やりたいことがみんなと違ったりするとき、多数派の意見に合わせないといけないのか?ということだと思います。なぜならこの番組は、協力とチームワークの大切さを示すコンテンツでもあるからです。一つの組織として協力し合うことで、予期せぬ問題や困難を乗り越えていくのが狙いの一つです。これは日本での社会生活においても同じで、集団生活をしていくなかで、他人と協力しながら成長していく。それがよりよい成果を生み出し、個人の幸せにもつながっていくことになると考えられます。

日本人であるわれわれは、単独行動よりも集団行動を重んじる傾向があります。自己主張をするとわがままだと捉え、周囲との調和こそが良いものだと教えられます。サッカーなどのスポーツでいう、チームワークが大切か個人プレーが大切かで考えるとわかりやすいかもしれません。2022年にカタールW杯で日本はベスト16で惜しくも敗れました。グループリーグでは強豪国のスペインとドイツを退け、グループ1位で突破しました。

なぜこの成果を上げられたかを考えたとき、おそらく選手、スタッフ、サポーターなどサッカーに関わるみんなが優勝という目標を掲げていたからだと思います。みんながその目標に向かって、一丸になったからこそのこの結果だったのではないでしょうか。

しかし海外旅行かつ集団行動をすると考えると、みんなが同じ目的を掲げるかというとそうではないでしょう。明確な目標は特にないけど、いつもとは違う生活がしたいと思う人もいるし、海外旅行なんてめったに来れないからいける機会があるときに行きたいと思う人もいるでしょう。明確な目標な目標を持って、このレストランのこの料理を食べる、こことあそことそこの観光地に絶対に行くとあらかじめ計画を立てる人もいるでしょう。実際に現地に行ってみて、魅せられる人もいるはずです。

それにもかかわらず

「単独行動よりも集団行動をしなさい!」
「自己主張をするとわがままだ!」
「周囲との調和を考えなさい!」
「自分勝手な行動はやめなさい!」

とあなたはいえますか?

少数派の立場で考えたとき、苦渋の選択をすることになります。なぜなら、集団行動では多数派の意見が採用されやすいからです。幸せという価値観から捉えた場合、どうしても多数派の幸せと少数派の不幸せに分かれてしまいます。多数派がそれをしたくてもなかには、ここには行かなくてもいい、これは食べなくてもいいと思う人が出てきます。それにもかかわらず多数派の意見を従うことで、自分が定義した幸せからかけ離れてしまうのです。

集団のなかで、自分ひとりを除いて他のひとたちみんなが同じ意見を支持するとき、孤立した自分の意見を最後まで主張し続けるのはなかなか難しいです。男女7人で海外旅行を計画します。そのうち6人がイタリアに行きたいと意見が一致しています。残る自分だけはスペインに行きたいと主張します。こうして孤立した場合、スペインを最後の最後まで粘って主張するのは難しくないですか?

「お前以外の6人がイタリアに賛成なんだから、お前が妥協しろよ」

こう言われそうですよね。もしくは

「じゃあお前ひとりでスペインに行けよ。こっちはイタリアに行くから」

こう言われることは想定範囲内です。そして結局、イタリアに賛成せざるを得ないことがほとんどです。

われわれ人間は他者からの影響を敏感に受けやすい存在だといえます。それは街角を歩いていたとしても、メディアを通してでも、周囲の人々の動向に敏感に反応してしまいます。改札口で空いているレーンがあるのにもかかわらず、誰も通っていないからわざわざみんながいて混雑しているレーンを使っています。テレビで「今年はワイドパンツがトレンド!」というと、急いでワイドパンツを買って流行に乗り遅れないようにします。

このようにわたしたちは多数派の前では、自分の本当の考えや気持ちとは反対の行動をとってしまうことがあるのは事実なのです。では、話をもとに戻しましょう。好きなことがみんなと違ったり、やりたいことがみんなと違ったりするとき、多数派の意見に合わせないといけないのでしょうか。

さまざまな価値観や考え方があるなかで集団決定をしていくとき、自分と他者の違いを認め合うのは重要なのではないか。多数決は簡単かつ手っ取り早いとして、よく使われる方法です。みんなで決めたことをみんなで守ることは、もちろん大切な観点ではあります。しかし多数決で決めたからといって、その決定が必ずしも唯一の真理であるとは限りません。よって、多数決はみんなを幸せにするかといわれると、そうではないという結果になります。

ちなみに番組では集団行動と単独行動について、年齢や観念の違いではないかとある出演者が疑問を掲げました。とくに現代の若者は空気を読んで周囲に合わせることをしたくないのではないか。集団行動を面倒くさいと思っているのではないか。上の世代の人たちはそう感じていました。せっかくの海外旅行。めったに来れないし一生に一度来れるかどうかの機会なのだから、みんなでそこに行こうよという派閥。それに対して、そこには行かなくてもいい。自分が欲している生活や気持ちの切り替えられるところではないという派閥。

実際には年齢や世代の違いはあまり関係がないと思います。あるとしたら観念の違いかもしれません。自分の人生において、なにをすると幸せだと感じられるのか。どういう状態になれば自分は幸せだと感じるのか。自分にとっての幸せと集団もしくは単独での行動と結び付けて考えられれば、海外での行動がよりいっそう充実したものになるでしょう。

3.あなたの旅の目的は何?

「仕事ばかりしたのに何も得るものがなかったから、いつもとは違う生活がしたかったんだ」

これは番組に出演したある人が言った言葉です。俳優である彼がわざわざバラエティ番組、もっといえば海外旅行のバラエティに出演を決めた理由が、ここにありました。彼はこの三年間(2014年放送なので2012年~2014年ごろ)ずっとドラマの撮影をしていました。役者としての仕事を除いて、なにもしてこなかったといいます。そこで、いつもとは違う生活を送ることを目的に、出演を快諾したそうです。

もちろんただの海外旅行ではなくバラエティ番組の撮影なので、ドラマの撮影とは違った苦労があるのは本人が一番よくわかっています。

ここで、おさらいをしておきましょう。旅の意義はなんでしょうか。私は初回に投稿したブログで「日常のルーティンから脱却することができる」とお伝えしました。いつも気付かず何気なく行っているルーティンがない世界で、何か課題が浮かび上がってきたらどのように解決するのか。これが私の考える旅の意義でした。

この旅の意義と幸せはいったい何が関係あるの?そう思うかもしれません。幸せとは、成長の機会を気づかせてもらえる瞬間のことではないでしょうか。それまで出来なかったことを出来るようにすることが人生の喜びだと仮定したとき、目の前に立ちはだかる壁は高いんだということを教えてもらえる気がするのです。

当然ながら、ずっと来たかった旅行先に行けたから満足とか、美味しい料理を食べれたからよかったという気持ちは出てくるでしょう。しかし、もっと頭で考えて旅をすると、幸せな気持ちになり、旅を満喫できるのではないかと思うのです。例えば、リフレッシュしたいから旅行するのではなく。。。リフレッシュがしたい、今までこういうリフレッシュの方法を試したけどなぜかリフレッシュできなかった。なんでだろう?今回は旅行をリフレッシュの目的とすることで、何か新しい感情が芽生えるのではないだろうか。

旅行先が日本国内にしろ海外にしろ、いつもの環境から飛び出せば何もかもが違います。駅がどこにあるのかわからないし、コンビニやスーパーだってそう。いつも使っているPASMOやSuicaが使えるかもわからない。このような課題が次々と浮かび上がってきたとき、どのように解決するのか。それまで出来なかったことを出来るようにすることが人生の喜びだとしたら、そのような困難を乗り越えたときに幸せを感じられるのではないでしょうか。

旅はいつもわたしたちに、成長の機会を気づかせてくれます。不確実性の高い旅行はわたしたちに、自信を与えてくれます。幸せとは価値観の一つに過ぎません。自分にとっては幸せだけど、他人にとっては不幸せなこともあります。幸せの価値観や捉え方は人それぞれ。他人と自分の価値観は違うからこそ、他人のことを羨む必要などまったくありません。あなたはあなたにとっての幸せを見つけるべきです。他人がさもそれを幸せそうに見せたとしても、あなたがそれと同じことをして幸せを感じられるかどうかは、全く関係がありません。

あなたの旅の目的は何ですか?ゆっくりと考えてみましょう。

【内容】

・夜9時ごろ車のトラブル発生し発煙リスクある
→急なトラブルにどう対処するか?スタッフのヘルプを求めるor自分の力でやろうとする
・安全第一orそれまでの自分の努力を無駄にするのか系の感情
→サンクコスト
・車酔い(乗り物酔い)リスク
→旅行トラブルへの対処(ゴミ袋、酔い止め、食べ物飲み物の用意)
→気分転換でブランコで遊ぶ人たちVS体調崩した人に関心を向ける人たち
・目的地到着前にiPadの電池がなくなる
→モバイルバッテリーを誰ももっていないときどうする?
→自分を犠牲にできるか?(スマホのSIMカードを貸すなど)
・午後からの行動において個人的な感情で集団行動をせず昼寝して過ごすのはいいのか?
→スケジュール確認の共有すべき?
→ある人は早起き、ある人は遅起き
→その日何をするか期待し過ぎてストレスになっている
→就寝時間の違い、起床時間の違い、起床後のルーティンの違い、朝の過ごし方の違いなど
・風景見たい多数派(集団行動)VSストリート音楽を聴いて見ていたい少数派(個人行動)
→好きなことがみんなと違う、やりたいことがみんなと違うとき多数派に合わせないとダメなのか?
→若者は周りに合わせたくない、面倒くさがり屋なのか?
→せっかく来たのだからいこうよVSそこには自分のほしい生活や気持ちの切り替えができる状態ではない
・海外旅行先で自国の料理を作る/食べに行くのはいいのか?
・スタッフの食事を盗んで食事するのはアリなのか?
→ルール破り(過去の課題を素通り、何が悪いのかわかっていない)
・役割分担で家事する、集団行動(食事、皿洗い、ゴミ捨て、片付けなど)
・あなたの旅の目的は何?
→ex)仕事ばかりしたのに何も得るものがなかったからいつもとは違う生活がしたい

【課題解決の例】(番組内より)

・急なトラブルにどう対処するか?
・モバイルバッテリーを誰ももっていないときどうする?
・スケジュール確認の共有すべき?
・やりたいことがみんなと違うとき多数派に合わせないとダメなのか?
・海外旅行先で自国の料理を作る/食べに行くのはいいのか?
・あなたの旅の目的は何?

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