中国人の「お金優先」はがめついのか?
中国人は、なぜ何をするにも『お金』を最優先に考えるのでしょうか?

「中国人って、なんで何でもお金が絡むの?」
「金儲けのことばかり考えていて、ちょっと引いてしまう…」
そんな印象を持ったことはありませんか?
私もそうでした。
しかし、中国人の妻と一緒に暮らする中で、単なるがめつさではない、深い文化的背景があることに気づきました。
本記事では、私の実体験を交えながら、中国人と日本人の金銭感覚の違いとその背景をわかりやすくお伝えします。
中国人の行動は「お金」が出発点にある
中国人の妻と生活する中で、強く感じることがあります。
それは、あらゆる行動の動機に「お金」があるということです。
なぜ働くのか? → お金を稼ぐため
・なぜ働くか?→お金を稼ぐため
・なぜSNSをやるか?→お金を稼ぐため
・なぜ海外に行くか?→お金を稼ぐため
・なぜ代理購入(代購)をするか?→お金を稼ぐため
・なぜそれを趣味にするか?→お金を稼ぐため
逆に、「お金にならなそうなこと」は敬遠されがちです。
(例)
・仕事はやらせたい→お金が稼げるため
(例)
・スケボーはやらせたくない→(感覚的に)お金を稼げそうにないため
・けん玉はやらせたくない→(感覚的に)お金を稼げそうにないため
この考え方の背景には、中国人の多くが持つ次のような価値観があります。
私たちが「ただ楽しいからやる」ようなことも、妻からすれば「それ、稼げるの?」と冷静な目線が入ります。
最初は違和感だらけでしたが、やがて「中国ではそれが普通」だと気づくようになりました。
「豊かさ=量と価格」という価値観
中国人の金銭感覚には、ある共通の価値観があります。
- 「多い=豊か」(「お金=信用・安心」と捉えている)
- 「高いもの=良いもの」(高いものほど価値があると信じる)
- 「お金をたくさん使える人=成功者」(収入や財産の“量”で人間関係や行動が決まる)
(たとえば、中国社会科学院の生活意識調査(2022年)では、
「家を持つこと」「貯金額の多さ」が幸福度に強く影響するという傾向が示されています。)
中国では、歴史的に貧困や格差を背景に、「持っている量」こそが豊かさの証明でした。だからこそ、「たくさんのお金を稼ぐ」「高価なものを持つ」ことに強い意味があるのです。
つまり、「お金」は単なる道具ではなく、信用・階級・安心を獲得するための武器なのです。
日本のように「ほどほどが一番」という感覚とは、根本的に違うのです。
実体験:代理購入ビジネスで見えた“価値観のズレ”
あるとき、妻と一緒に「代理購入(代購)1」を始めました。
🔍 代理購入とは?
中国の顧客から依頼を受け、日本の百貨店やドラッグストアで商品を代わりに購入し、手数料を上乗せして販売するビジネスです。中国のSNSやショッピングアプリ(WeChat、Redbook・小紅書2など)でのやり取りを通じて行います。
うまくいくと思ったが…
実際に始めてみると、中国人の顧客と妻との間に強い「ズレ」があることがわかりました。
妻の考え:
- 少しでも高く売って利益を増やしたい
- 移動費や時間も価格に反映すべき
顧客の考え:
- 少しでも安く買いたい
- 他のバイヤーや中国ECと徹底的に比較する
つまり、目的そのものが食い違っているのです。
その結果、やり取りの末に「やっぱり買わない」と言われることも多く、妻は「せっかく頑張ったのに…」と怒ることが増えていきました。
しかし顧客からすれば、「少しでも得をしたい」というのは当然の感覚。誰も悪くない。でも、満足の基準がまったく違うのです。
中国人は「予算計画」が苦手?
このビジネスを通じて気づいたことがあります。
それは、中国人は「予算」という考え方が苦手だということです。
(この傾向は「即時満足志向3(Immediate gratification)」という概念で説明されることもあり、
欧米や日本よりも「今あるものをどう使うか」を重視する傾向があると報告されています(Geert Hofstede文化次元理論など))
日本人の発想:
- まず収支の見通しを立てる
- 予算内でやりくりする
中国人の発想:
- 今ある分は使う
- 足りなければ後で稼ぐ
中国人の金銭感覚の特徴
- あるなら使う、ないなら稼ぐ(事前計画より行動優先)
- 高いもの=良いものという価値判断(価格はステータス)
- 量が多い=豊かさの証拠(必要かどうかより多さが重要)
- お金の有無が行動範囲を規定する(学校・旅行・人間関係すべて)
このような価値観のもとでは、お金のある人とない人で全く異なる世界に生きることになります。
行く店も、住む場所も、子どもの教育もすべて違う。だからこそ、相互理解が生まれにくいのです。
人は裏切るけどお金は裏切らない
中国人の妻がよく言う言葉があります。
「人は裏切るけど、お金は裏切らない」
(実際に中国のビジネス文化では「契約書がすべて」「現金での取引が好まれる」など、
信用をお金で担保する傾向が顕著に見られます(参考:日経ビジネス『中国ビジネス慣習の違い』特集 2023年))
最初はギョッとしましたが、これは中国社会に根付いた現実的な金銭観の象徴ともいえます。
中国では契約違反や詐欺が多い環境で生き抜く中、「人間関係」より「金銭的担保」に信頼を置く傾向があります。つまり、お金は唯一確かな信用とされるのです。
ビジネスでも、「支払う額=サービスの質」という発想が一般的です。
これは、日本人の誠意や心遣い重視とは真逆の価値軸です。
日本人と中国人は金銭感覚の違い
ここまでの話を整理しましょう。
視点 | 日本人 | 中国人 |
---|---|---|
豊かさ | 安定・人間関係・調和 | 所有量・高級志向 |
予算感覚 | 計画重視・慎重 | 行動重視・その場で判断 |
信用 | 人との信頼関係 | 金銭的担保・契約 |
この違いを知らずに接すると
「中国人ってがめついな…」
「なんでそんな言い方するの?」と感じてしまいがちです。
しかし、その背景を知ると、悪意ではなく文化なのだと理解できるようになります。
「違う人種」として受け入れる
異文化理解というと、「歩み寄ろう」「仲良くなろう」と思いがちです。しかし、現実的にはそう簡単にはいきません。
だから私は、「中国人はまったく違う文化・感覚の人種」として捉えるようにしています。
最初から常識が違うと分かっていれば、いちいちイライラしたり、感情的になることも減ります。
まずは違いを知ること
中国人と接する中で生まれる「モヤモヤ」や「怒り」
その多くは、自分の常識と相手の価値観のズレによって生まれています。
このズレを「間違い」と決めつけるのではなく、「文化的な違い」として理解することで、私たちの心は少しずつ柔らかくなっていきます。
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