「あの人、なんで絶対に謝らないんだろう?」
国際結婚や異文化交流の場面で、こう感じたことはありませんか?
実際、私も中国人の妻と7〜8年一緒に暮らしていますが、夫婦喧嘩で謝るのはたいてい私。
妻が謝ってくるのは、本当にまれです。心の底から悪いと思っているはずの場面でも、「对不起(ごめんなさい)」の一言が出てこない。
これは個人の性格の問題ではなく、中国人の「謝罪観」の深い文化的背景にあると感じています。
日本人にとっての「謝る」は礼儀であり美徳
日本では、ミスや誤解があった際に「すみません」と口にするのが常識的なマナーです。
これは単なる謝罪にとどまらず、相手を思いやる姿勢や、自分の立場をわきまえる行動として評価されることすらあります。
たとえば:
- 道を尋ねるとき:「すみません、ちょっとお聞きしてもいいですか?」
- お店で店員を呼ぶとき:「すみませーん!」
- ちょっとした迷惑をかけたとき:「すみません、助かります!」
こうした「すみません」には、感謝のニュアンスすら含まれています。
つまり、日本人にとって「謝る」は、自分を下げる行為ではなく、円滑な関係を築くためのコミュニケーション手段なのです。
でも中国では、「謝る=負けを認めること」
中国人にとって「謝る」という行為は、日本人が想像する以上に重い意味を持っています。
その象徴が「男儿膝下有黄金(男子の膝には黄金が埋まっている)」という中国のことわざ。これは、「男たるもの、簡単に膝をつく(頭を下げる)べきではない」という誇りの表れです。
つまり、謝ることは自らの誇りを捨てること=敗北を認める行為だと捉えられる文化なのです。
中国語で「謝罪」を意味する「对不起」も、日常的に気軽に使うものではありません。本当に心から非を認める時だけに使う、“重い一言”なのです。
「謝らない」背景にあるのは、過度な自尊心
このように中国人が謝ることに強い抵抗を持つのは、文化的な自尊心の強さが根底にあるからです。
特に漢民族を中心とする中国人の中には、自国文化への誇りが非常に強く、他国に合わせること自体が「負け」であるという感覚を持つ人も少なくありません。
これは日常生活の様々な場面にも現れます。
なぜ、中国人は「民族」より「文化」にこだわるのか?
ここで一つ、興味深い文化比較をご紹介します。
たとえば海外旅行に行った時の食事のとり方。
- 日本人は「郷に入りては郷に従え」の精神で、その土地の料理を楽しもうとします。多少味が合わなくても、「せっかくだから」と受け入れる姿勢を見せます。
- 一方、中国人はまったく逆。「どこに行っても中華料理がないと生きていけない」というレベルで、食文化にこだわります。
海外旅行の際には、カップラーメンや鍋料理の素を大量にスーツケースに詰め込んだり、現地の中華レストランを探したりするのが定番です。これは筆者の実体験だけではなく、中国の海外旅行にまつわるバラエティ番組を見てもよく見られることです。
世界中どこに行っても中華料理店があるのは、需要だけでなく、文化を守る強烈な意識の表れなのです。
このように、「自分たちの文化が優れている」「変える必要がない」という自信(あるいは過信)が、中国人の行動の根本にあると言えるでしょう。
「郷に入っても郷に従わない」文化の正体
中国人が海外でも自己流を貫く背景には、「我が道を行く」という強い文化的自負があります。
その理由は大きく2つ:
- 悠久の歴史への誇り
自分たちは四千年の歴史を持つ文明の子孫であり、孔子・老子・秦の始皇帝など、世界に名を轟かせた先人を誇りに思っている。 - 現代の国際的影響力
経済力、人口規模、政治的発言力のいずれも世界トップクラス。自国の文化を曲げてまで「他国に合わせる必要はない」と感じている。
この自負心が、海外に出ても行動を変えようとしない“頑固さ”の正体です。そしてそれは、「謝らない」態度とも根っこでつながっています。
「文化を変えること=負け」なのか?
こうした姿勢に接した時、日本人としてはつい「マナーがなってない」「協調性がない」と感じてしまいがちです。
でも彼らにとって、自分たちの文化を変えること=自分自身を否定することに近いのです。
つまり、謝らない、郷に従わない、という態度は、単なるマナーの問題ではなく、深い文化的・心理的防衛反応でもあるのです。
💡私たちができることは、違いを「理解する」こと
もちろん、「文化だから仕方ない」で全てを済ませるわけにはいきません。特に日本国内で共に暮らすのであれば、お互いが歩み寄る努力は必要です。
ですが、その第一歩は「なぜ彼らがそうするのか?」を知ること。
謝らない理由も、郷に従わない理由も、背景にある“過度な自尊心”と“文化への誇り”を理解すれば、イライラや誤解を減らすことができるかもしれません。
✅まとめ
- 中国人が謝らない理由には「謝る=敗北」の価値観がある
- 文化への強烈なこだわりは、「変えないこと」こそが自尊心を守る手段
- 「郷に入りては郷に従え」は通用しないことを前提に接することで、摩擦を減らすことができる
- 違いを理解することが、異文化コミュニケーションの第一歩
📣あなたの声を聞かせてください!
💬この記事を読んで「共感した」「なるほどと思った」「経験ある!」という方は、ぜひコメントで教えてください!
🔁ブログのブックマーク、SNSでのシェア、フォローをしていただけると励みになります。
今後も「中国エンタメで文化の分析」「中国人との人間関係術」「中国人の行動心理」について発信していきます!
コメント