「完璧主義」の日本VS「だいたい」の中国 あなたのイライラには理由がある

ムカつく中国人の行動心理

観光地やスーパーで中国人観光客を見かけたとき、 イラッとしたことあると思います。

「なんでこんなに雑なの?」

「もう少し周りに気を遣ってほしい」

と感じたことはありませんか?

たとえば、

  • 店員の説明を最後まで聞かずに割り込む
  • レジで袋詰めが雑で商品が崩れている
  • 朝食ビュッフェで食べ残しが山積み

こうした行動に嫌悪感や怒りを覚えた経験、きっと一度はあるはずです。 でも、それは本当に「マナーが悪い」からなのでしょうか?

実はその背景には、日本と中国に根付く文化の違いがあります。特に注目すべきは、 「完璧主義」の日本と「だいたい主義」の中国という価値観の差です。

【結婚指輪の購入で感じた「丁寧すぎる」対応】

2023年、結婚指輪を購入したときのこと。

店員さんは商品の特徴から保証内容、サイズ調整の方法まで丁寧に説明してくれました。結局、購入が終わるまでに1時間もかかりました。

その後、妻が一言。

STの妻(中国人)
STの妻(中国人)

「日本って、なんでこんなに丁寧なの?

中国なら10分で終わるのに」

日本では「完璧な対応」が当たり前。 どんな場面でも「正確さ」や「漏れのなさ」を追求します。 丁寧な対応は日本人には安心感がありますが、他国の人には「非効率」と見えることもあります。

【配偶者ビザの申請に見る対応の差】

2023年、妻の日本での配偶者ビザを申請しました。結果的に、4回も申請し直すことになったのです。 最初の申請では、提出書類の不備で重婚の疑いまでかけられました。

日本では、

  • 出会いから結婚に至る詳しい経緯の作文
  • 数十枚の2ショット写真
  • 月別にまとめたWeChat1のチャット履歴2

など、事細かな証明が求められます。

行政書士3の先生曰く、

行政書士Aさん
行政書士Aさん

「一度疑われると、それを覆すのに相当な労力が必要です」

出入国在留管理庁「日本人の配偶者等ビザに必要な書類一覧」
・日本での「配偶者ビザ」の平均審査期間(通常3か月〜6か月)
・不許可になる主な理由(証明書類の不足、結婚の信ぴょう性が疑われたケースなど)

一方、中国ではどうだったか。 私が配偶者ビザを申請したときは、必要書類を揃えて窓口に行くと、たった4日で発給されました。

中国ビザ申請サービスセンター(東京)公式サイト(必要書類と所要日数)
・中国側では「結婚証明書」「身分証」「招へい状」などで完了することを明記

この経験を通じて、日本の「完璧を求める仕組み」と中国の「効率を重視する運用」の違いを実感しました。

【お米の食べ方にも価値観の違い】

日本では「ご飯粒を一粒も残さないで食べなさい」と幼い頃から教えられます。誰もがこの言葉を一度は聞いたことがあるのではないでしょうか?

「ご飯粒を残すと目が潰れるよ」

「食べ物を粗末にするとバチが当たるからね」

実際、日本人はお茶碗をピカピカにして食事を終えることが美徳とされます。

ところが中国では、9割食べたら完食扱い。 残ったご飯粒がお茶碗に付いていても、特に気にしません。

STの妻(中国人)
STの妻(中国人)

「どうしてそんなに綺麗に食べられるの?

私には無理」

日本では、丁寧に食べることは「感謝の気持ち」と結びついています。一方で、中国では「完璧に食べる」こと自体にこだわりがないのです。

筆者が気づいたのは「後片付けのしやすさ」にもつながることです。

皿洗いのとき、ご飯粒のついていないお茶碗はサッと洗いやすい。しかし、ご飯粒のついたお茶碗は洗いにくい。なぜなら、ご飯粒がお茶碗に引っ付いていたりスポンジにくっついてネチョネチョしてしまうからです。

【スーパーの袋詰めにも文化が出る】

日本のスーパーでは、レジの店員さんが重い物を下に、割れ物を上にと、見事なバランスで袋詰めしてくれます。 自分で詰めるときも、「卵は割れないように」「肉は汁が漏れないように」と考えながら整えますよね。

一方、中国人が袋詰めをすると「とにかく詰め込む」スタイルが普通です。ヨーグルト(1セット4個付きあるいは8個付き)が逆さまになっていたり、肉や刺身が縦に突っ込まれていたりするのは日常茶飯事です。

STの妻(中国人)
STの妻(中国人)

「どうせ家に着いたらすぐに冷蔵庫に突っ込むんだから、

詰め方や見た目なんてどうでもいいじゃない」

日本は「見た目の美しさ」や「持ち運びやすさ」を重視します。しかし、中国では「運べればOK」という発想が主流のようです。

「完璧主義の日本 VS だいたい主義の中国」比較表

ここまでの事例を視覚的に整理しました。

項目日本(完璧主義)中国(だいたい主義)
指輪購入商品説明を1から10まで丁寧に確認、所要時間1時間以上最低限の確認で即決、10分ほど
ビザ申請数十枚の写真・チャット履歴・作文が必要、審査に数ヶ月最低限の必要書類のみ、最短4日で発給
ご飯の食べ方ご飯粒を一粒も残さず食べるのが礼儀、感謝の文化9割食べればOK、米粒が残っていても問題なし
袋詰め重い物・割れ物を分類し丁寧に積む、見た目やバランスを重視とにかく詰める、早さと利便性を優先
価値観の土台正確性・美意識・調和・伝統実用性・スピード・柔軟性・合理性

➡日本では「正しさ」が重んじられ、中国では「だいたいで済むなら早く進めよう」という合理性が重視されます。

【文化の違いにイライラしたときに考えてほしいこと】

こうした体験を通じて私が感じたのは、 「中国人はだらしない」のではなく、価値観が根本的に違うということです。

日本では「完璧」「丁寧」が評価される一方、 中国では「スピード」「実用性」が重視されます。

どちらが正しいという話ではなく、単に「あたりまえ」の基準が違うのだと思います。

【どう向き合えばいいのか?】

もしあなたが、中国人の雑さにイラッとしたことがあるなら、 まずは「相手の文化的背景」を知るところから始めてみてください。

そしてときには、あなた自身も「完璧を手放す」ことを試してみてください。

中国的な「だいたい主義」が、意外と肩の力を抜くヒントになるかもしれません。

注釈

  1. 中国で広く使われているメッセージアプリ。LINEのような機能。 ↩︎
  2. メッセージアプリなどの会話記録。 ↩︎
  3. ビザ申請や公的書類の作成をサポートする国家資格の専門家。 ↩︎

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