なぜ中国人はこんなに「国際感覚」に疎いのか?

ムカつく中国人の行動心理

なんで中国人ってあんなに自己中心的なの?

海外旅行先で中華料理を食べる。
現地のマナーに従わず、自分のやり方を通す。
相手に中国文化を理解してほしいと強く求めるけれど、自分たちは他国文化に関心が薄い。

花儿与少年第一季EP1より「中国人が海外へ行くとき自国の食べ物を持っていく例」
花儿与少年第一季EP4より「中国人が海外旅行先で中華料理を食べる例」

そんな場面に出会い、「えっ?」と戸惑ったことがある方も多いのではないでしょうか?

SNSや日常の中で、「またか…」と思ってしまうような行動。しかし、彼らはわざとやっているわけではありません。そこには、文化の背景と価値観の違いが深く関係しています。

この記事では、「なぜ中国人はそう振る舞うのか?」という視点から、摩擦の原因を紐解いていきます。

中国人は世界に「中国文化」を広めたくて必死

中国では近年、「中国文化を世界に伝えたい」という熱意が高まっています。とくに顕著なのがテレビ番組やバラエティ番組です。

  • 2014年以降: 海外旅行を通じて異文化を学ぶ番組が登場
  • 2017年〜: 海外で中華料理店を開き、中国の食文化を広める番組が登場
  • 2019年: 南青山(日本)で中国ブランドを発信する番組が話題に

これらの番組には一貫して、「世界に中国の素晴らしさを伝えたい」という強い思いが込められています。その姿勢は、テレビだけでなくSNS、リアルな行動の中にも現れます。

自己主張ではなく「誇り」から来ている

わたしたちから見るとこうした行動は一見、自己中心的に映るかもしれません。

その背景には、中国人としての誇りがあります。中国人は、長い歴史と文化に強い自信を持っています。この価値観は、政府の方針ともリンクしています。

たとえば中華民族の偉大な復興という国策や、文化の輸出力への注力です。そうした思想が、個人の思考や行動にも浸透しているのです。

(文化の輸出力については、自治体国際化協会『文化強国をめざす中国』をご覧ください)

たとえば、海外に行っても必ずと言っていいほど中華料理を食べる。
スーパーに行っても、中国の調味料や鍋の素を探す。

これらは単に味の好みではなく、「自分の文化に忠実であること=正しいこと」という信念によるものです。

「郷に入りては郷に従え」が通じない理由

一方で、日本人を含む多くの国の人々にとっては、「その国に行ったら、その国のルールに従うのが礼儀」という意識があたりまえです。

しかし、中国人にとって「郷に従う」という感覚は、まったく違うのです。

「自国に来た外国人」に求めるものであって、
「自分が外国に行ったとき」には当てはまらない

この背景には、「まずは相手が自分を尊重すべきだ」という文化的な考え方があります。

中国社会では、面子(メンツ)1が重視されます。

「あなたが私を立ててくれたら、私もあなたを立てる」という順番意識が強く、それは相手から始めることが、関係の土台になると考えられています。https://aichiu.repo.nii.ac.jp/record/10669/files/52_165-190_%E6%9E%97%E8%90%8D%E8%90%8D.pdf (面子の共有に関する日中比較•作者:林萍萍•2020も参考にしてください)

事例:番組に見る「文化の優先順位」

具体例として、『潮流合伙人第一季』という番組を紹介します。

この番組では、中国の芸能人たちが東京・南青山に来ました。そこでポップアップショップを経営し、中国ファッションの魅力を広めようとします。

彼らは和食も楽しみましたが、最終的に選ぶのは中華料理。火鍋を囲み、デリバリーでも中華、さらには自炊でも中華。

食を通じた文化の帰属意識が強く表れています。

これは他の番組にも共通します。たとえば、『花儿与少年2』(イタリア・イギリス・スペインなど)です。

ジャンルの違う番組では、「外国人が中国でパフォーマンスを披露するなら、中国の要素を取り入れてほしい」といった期待が込められます。つまり、中国文化の前提化が見て取れます。

  • 『这!就是街舞3』(中国のストリートダンス番組):中国文化を取り入れた音楽、道具、ファッションセンスなどを採用すること
  • 『中国有嘻哈4』(ラップバトル番組):中国語を取り入れた歌詞を採用すること

「違い」を知るとイライラは減る

日本人からすると、
「なんであの人たちは現地の文化に合わせようとしないんだろう」
「自分たちの文化ばかり押し付けるのってどうなの?」
と感じてしまうのは、ごく自然な反応です。

わたしもある中国人留学生と話していたとき、そう感じました。

彼女は学校から借りた留学生寮に住んでいました。しかし冬になると、スニーカーを履いたまま部屋にあがって過ごしていたのです。

わたしは「日本の家では靴を脱ぐのが普通だよ」と伝えると、彼女は「寒いから脱がない」と返しました。文化の違いを目の当たりにした瞬間でした。

ただ、こうした場面でも「文化が違うからしょうがない」ではなく、「なぜそういう行動をするのか」を知っているだけで、こちらの感情の波は少し穏やかになります。

まるで恋人同士のすれ違いのようなものです。相手との違いに腹を立てるより、「そもそも違う生き物なんだ」と認識する。それだけで、コミュニケーションはぐっとラクになります。

まとめ:文化は“譲るかどうか”の前に“知る”ことから

中国人の「譲らなさ」にモヤモヤする理由。それは、相手がこちらを理解しようとしないように見えるからです。

しかし、その背景には「自国文化への誇り」と「先に尊重されたい」という強い価値観がありました。そして、その価値観は国としての歴史、社会構造、教育のなかで育まれたものです。

私たちができるのは、相手を変えようとする前に違いを理解し、自分の感情を整理することです。

違いを知るだけで、文化の摩擦は少しだけ軽くなります。

違いはなくならない。しかし、違いを知ることで、少しずつ近づくことはできます。

あとがき:お困りのことがあればコメントへどうぞ

異文化にストレスを感じるのは、あなたの感覚が間違っているからではありません。

むしろ、その違和感が「理解の入り口」になるのです。

「これって、どう受け止めたらいいんだろう」

そんな迷いがあれば、ぜひコメントで話しかけてください。一緒に考えていきましょう。

注釈

  1. 他人からの評価や体面を最重視する文化的価値観のこと。面子の本質は、その人が「他人にはできないことが自分にはできることが明らかになる」状態を指す。 ↩︎
  2. 2014年に放送開始された芸能人が海外旅行に行く番組。異なる世代の男女が旅を通して、人間関係を構築する。友情を深め、コミュニケーションの大切を再認識する。 ↩︎
  3. 2018年にに放送開始されたストリードダンスNo. 1を競う番組。2021年に開催されたパート4では番組初の国際大会が実施された。日本からはGOGO BROTHERS、Hilty&Bosch、ACKYなどダンス界のレジェンドたちが参戦して話題になった。 ↩︎
  4. 2017年に放送開始されたラップスターNo. 1を競う番組。この番組をきっかけに、中国国内ではヒップホップが日の目を浴びた。 ↩︎

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