「観光地がうるさい」と感じたあなたへ
最近、観光地で「うるさいな…」と
感じる場面が増えていませんか?
先週、妻と久しぶりのデートで浅草に出かけたときのことです。雷門の前で記念撮影をしようとしたら、どこからともなく大きな中国語の声が響いてきました。
「ちょっと、うるさくない?」と、妻が眉をひそめて私にささやきました。
まわりを見渡すと、複数の中国人観光客が大きな声で笑い、話し、写真を撮り合っていました。
楽しんでいるのはわかるけれど、こちらとしては正直、落ち着かない。
そんな経験、あなたにもありませんか?
この記事を読むと:
- なぜ中国人が声が大きくなるのか、その背景がわかります
- 観光地でのストレスを減らす視点が得られます
- 異文化とどう向き合えばいいのかヒントが見つかります
中国人はなぜ声が大きいのか?
声が大きいのは「マナー違反」ではなく「自己主張」
まず押さえておきたいのは、中国人にとって声が大きいこと自体が悪いことではないという点です。むしろ、中国社会では「自己主張1できる人=立派な人」とされる傾向があります。
中国は13億人以上が暮らす巨大な社会で、黙っていては埋もれてしまうという感覚が根強くあります。
そのため、学校や職場では『黙るな、発言しろ』という文化が根付きます。主張しないと損だと教え込まれるのです。
つまり、日本人が「マナーが悪い」と感じる声の大きさも、中国では当然の行為なのです。
中国語はなぜうるさく聞こえる?
「怒ってる?」と感じてしまう理由
中国語が「うるさくけんか腰」に聞こえる理由の一つに、言語構造そのものの違いがあります。
標準中国語(普通話2=中国で使われる公用語)には、4つの声調3(トーン)があります:
声調 | 呼び名 | 音の動き | 例(ma) |
---|---|---|---|
第1声 | 高平調 | 高く平ら | mā(媽) |
第2声 | 上昇調 | 低→高 | má(麻) |
第3声 | 降→上昇調 | 低→下→少し上がる | mǎ(馬) |
第4声 | 下降調 | 高→低(鋭く) | mà(罵) |
このように、抑揚がはっきりしており、破裂音や摩擦音4も多いため、感情がこもっていなくても強く聞こえるのです。
ちなみに、中国語には「第1声〜第4声」と呼ばれる4つの声調があります。
それぞれ高さや抑揚が異なり、発音を間違えると意味まで変わってしまいます。
音の違いを図解付きで紹介しているページはこちら:
👉 NHKゴガク|声調と発音ガイド(公式)
大きな声で話すことは“ハッキリしていて気持ちがいい”と、好意的に受け止められることが多いのです。
謝らない?逆ギレ?それも文化の違いだった
「謝罪」=「全面的敗北」という価値観5
日本人にとって、トラブル時に「すみません」と言うのは自然な行為です。
しかし中国では、軽々しく謝罪することは「自分の非を全面的に認める」と見なされ、立場を失うことにつながります。
そのため、ホテルでうるさいと注意されても、「建物の造りが悪い」と反論したり、「責任者を出せ」と逆ギレする場面も見受けられます。これは、単なるマナー6違反ではなく、自己防衛反応7の一つと見ることもできます。
つまり、中国人が「謝らない」のではなく、「謝れない」社会構造があるのです。
日中「謝罪観」のちがい
項目 | 日本人 | 中国人 |
---|---|---|
謝罪の目的 | 相手との関係を保つ | 自分の非を認めること |
謝り方 | まず「すみません」 | 基本的に謝らない |
謝罪の頻度 | 多い(あいさつ感覚) | 少ない(よほどでないとしない) |
謝る心理 | 円満に済ませたい | 認めたくない=弱さと見なされる |
8自己主張が強いのは競争社会の表れ
勝たなければ生き残れない国のリアル
中国では、社会のあらゆる場面において競争が極めて激しいです。その象徴が「高考(ガオカオ)9」と呼ばれる大学統一試験。数千万人が一斉に受ける試験で人生が決まると言っても過言ではありません。
このような勝者こそ正義という教育環境の中で育った人たちにとって、「目立つ」「声で押し切る」「自分を通す」ことは、生き残るための戦略です。
中国のビジネス文化にも見る「声=強さ」の価値観
会議で黙ると「無能」と見なされる
ビジネスの場面でも、日本では「空気を読む」や「和を重んじる」が尊ばれる一方、中国では「黙る=意見がない」「やる気がない」と評価されることもあります。
発言しなければ存在を認められない。声が大きく、堂々としていることが「信頼感」「リーダーシップ」と見なされる。そういった文化が、旅行中であっても自然に表れているのです。
「マナーが悪い」と切り捨てる前に
違いを知ることで、対策が変わる
ここまで見てきたように、中国人観光客の「声の大きさ」や謝らなさには、単なるマナーの悪さでは説明できない背景があります。
私たち日本人にとって、静けさや謙遜は美徳。
しかし、相手の文化では「静か=存在感がない」「謝罪=負け」なのです。
もちろん、マナーの共有は必要です。
ですが、まずは「なぜそうなるのか?」を理解することで、私たち自身のストレスも軽くなります。
文化の違いを「知ること」
中国人がうるさく見える。マナーが悪く思える。
その違和感を無理に正当化する必要はありません。
しかし、「文化の違い」として理解しておくことで、無駄な怒りや不満を少し減らせるかもしれません。重要なのは、相手を変えることではなく、自分の受け止め方を選べるようになること。
知ることで、感情がコントロールしやすくなり、対処も冷静にできます。それが、観光地や日常で混ざり合う人々と向き合う私たちの処世術10ではないでしょうか。
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