【中国人はサッカーでも面子を気にする】「点を取るな」は思いやり?

ムカつく中国人の行動心理

【更新日:2025年7月10日】

この記事はこんな人におすすめ

  • 中国人の恋人・配偶者・同僚との関係でモヤモヤした経験がある
  • 「中国人はプライドが高すぎる」と感じて、接し方に困っている
  • 中国人の行動の背景を、文化的に理解したい
  • 今後トラブルを避けるために、中国人との付き合い方を見直したい

試合中、妻のひと言に固まりました。

2025年7月8日、サッカーのE1選手権1・日本 vs 香港の試合を観ていたときのことです。

前半25分で、スコアはすでに日本が5-0。
ジャーメイン良2選手がハットトリック3を決め、日本は圧倒的な強さを見せていました。

そのとき、隣で一緒に観戦していた中国人の妻が、ふとこう言ったのです。

「日本は、香港に面子4を立ててあげてるのかもね」

「え?サッカーで面子?それ本気?」

私は思わず聞き返しました。

「点を取らないほうがリスペクト5なの?
むしろ手を抜くほうが失礼じゃない?」

妻は真顔でこう返しました。

「中国では、相手に恥をかかせることが一番よくない。
点差が大きいと、それだけで相手の国の『面子』が潰れたってことになるのよ」

私は驚きました。
しかし後から冷静に考えると、それは中国社会の根っこにある価値観だったのです。

面子とは何か?|恥ではなく「社会的な評価」

中国語には「面子(メンツ)」に関する言葉が非常に多く存在します。

表現
丢面子(diū miànzi)恥をかく(面目を失う)
爱面子(ài miànzi)面子を気にする
给面子(gěi miànzi)面子を立てる(配慮を示す)
有面子(yǒu miànzi)面目が立つ。

つまり「面子」とは、他人からどう見られているかをとても気にする文化的な価値観です。
わかりやすく言えば、「人前で自分の評価が下がらないようにすること」

日本語でいう「プライド」よりも、「社会の中での顔を守る感覚」に近いものです。

中国人にとっての「面子(メンツ)」は、単なるプライドや恥ずかしさではなく、他人との力関係の証明です。

  • 「面子がない」「面子を潰される」=恥をかくこと。
  • その恥とは、他人との比較で“自分のほうが下”と示されること。
  • このため、中国人は他人と接するときに、常に「上下」「強弱」「勝ち負け」を意識します。
  • 相手に勝つ、評価される、自分の力を証明することで「面子を守る」のです。
  • 逆に、負けたり恥をかいたりすると、「力で劣る人間だ」と公開証明されてしまい、深く傷つくのです。

📊(表)|日本人と中国人の「リスペクト感覚」のズレ

観点日本人の感覚中国人の感覚
サッカーの勝ち方全力で戦うことが礼儀点差をつけすぎるのは相手の面子を潰す
恥をかくとは?失敗しても成長につながる公の場で劣っていると見られる=社会的損失
他者との関係軸協力・平等・調和上下・強弱6・比較
評価の基準自分自身の内面や努力他人より上かどうか

📊(表)|面子が「勝ち負け」になってしまう構造

比較軸日本人の傾向中国人の傾向
他人との違い個性や役割の違いとして受け入れる優劣・上下の関係で判断
対人関係共感・協調を重視強さ・賢さで“勝つ”ことを重視
恥をかく場面自分の中で反省公の場で評価を下げる=面子が潰れる
評価の軸多様・相対的一本軸(上か下か)になりやすい

なぜそこまで「面子」が大切なのか?【3つの背景】

① 儒教7の影響で上下関係や体裁を重んじる

中国では「立場」「序列」「外聞(そとづら)」を保つことが重要とされます。

② 社会全体が「比較評価社会」になっている

たとえば、中国の大学受験「高考(ガオカオ)8」では、1千万人超の受験者が全国で点数競争をします。
このように、小さいころから「他人より上か下か」が重視される社会です。

③ SNSや動画配信によって“晒されるリスク”が増加

試合内容はネットで生中継され、失点や敗北の瞬間が何度も再生されます。
それが「国の恥」として国民に共有されることすらあるのです。

実は、あなたの身近にも「面子」は存在している

私たちが「ただ注意しただけ」「指摘しただけ」と思っていても、
中国人にとっては「みんなの前で恥をかかされた」と受け取られることがあります。

たとえば:

  • 会議中にミスを指摘された → 無言になる or 機嫌が悪くなる
  • SNS9でやりとり中に指摘された → 反論 or 既読スルー
  • 恋人に「間違ってるよ」と言った → 黙って距離をとられる

それらの背景には、「面子が潰された」という無意識の反応があるかもしれません。

✅ 知らないと誤解される、知っていれば防げる

私たち日本人は、正しいことを伝えれば通じると思いがちです。
しかし、中国では「正しくても、面子を傷つけたらアウト」な場面が多々あります。

その感覚を知らずにぶつかってしまうと、相手の心を閉ざさせたり、人間関係にヒビが入ることすらあります。

💡 面子を守りながら付き合うために

シーンNG行動面子を守る工夫
職場公の場で叱る1対1で提案型で伝える
SNSリプライで否定個別DMで共有する
夫婦上からの口調10「どう思う?」と質問形式に

あなたなら、点を控えますか?

「面子」という感覚を知らなければ、サッカーで手を抜くなんて失礼に思えます。

しかし文化を知れば、相手の行動や価値観に意味があることがわかってきます。

私たちが「全力でぶつかること=礼儀」と考えるように、
中国では「恥をかかせないこと=配慮11」という考えがあるのです。

💬 あなたはどう思いましたか?

あなたが中国人と接したとき、
「なんでそんなことで怒るの?」と思った経験はありませんか?

それ、「面子」が関係していたかもしれません。
コメント欄で、あなたの体験や感想をぜひ教えてください!

注釈

  1. 東アジアの国・地域の代表チームが対戦するサッカー大会。 ↩︎
  2. 日本代表に選ばれたプロサッカー選手(ハーフの選手)。1995年4月19日生まれ。サンフレッチェ広島所属。ポジションはフォワード(FW)。 ↩︎
  3. 1人の選手が1試合で3点を取ること。サッカー用語。 ↩︎
  4. 「人からどう見られるか」を気にする中国の文化。体裁やプライドのようなもの。 ↩︎
  5. 相手に敬意を払うこと。尊重すること。 ↩︎
  6. 「上の人・下の人」「強い人・弱い人」といった関係性のこと。中国ではよく意識される。 ↩︎
  7. 中国に昔からある考え方で、「目上の人を大切にしなさい」などの教えを重んじる。 ↩︎
  8. 中国の大学入試。全国共通で行われ、1千万人以上が受ける超重要な試験。 ↩︎
  9. ソーシャル・ネットワーキング・サービス。LINEやX(旧Twitter)、Instagramなどのこと。 ↩︎
  10. 命令したり、見下したような話し方のこと。 ↩︎
  11. 相手の気持ちや立場を考えて行動すること。 ↩︎

✍️筆者プロフィール

異文化理解のST|中国留学経験あり|中国人配偶者と生活中
X(@ST__Culture)で「文化の違いでモヤモヤしない方法」を発信中
▶︎ https://x.com/ST__Culture

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