【更新日:2025年7月8日】
「あれ?なんで私が悪者になってるの?」と思ったことはありませんか?
- 相手(中国人側)がうまく理解できていないのに、(日本人側の)「説明が悪い」と責められた
- 丁寧に対応したはずなのに、「やっぱり中国人がいい」と言われた
- 自分ではなく、なぜか”日本人全体”が悪者にされた
この記事では、実体験をもとに、中国人と関わる中でよくある「論点のすり替え」について解説します。
感情に振り回されずに冷静に対処するヒントをお届けします。コミュニケーションでよく見られる「論点のすり替え」とその背景、そして対処法について解説します。
「やっぱり中国人がいいね」
先日、妻(中国人)が日本でスマートフォンを買い替えることになりました。
せっかくだから日本語の練習も兼ねて、ひとりで店員さんとやり取りさせてみることに。
私は少し離れて見守っていましたが、どうも説明がうまく伝わっていない様子。
料金や機種の違いなど、内容が少し複雑だったのもあります。
結局、近づいて確認すると、妻はこう言いました。

「やっぱり中国人がいいね」
その瞬間、私の中でぷつんと糸が切れるような感覚がありました。
すり替え①「自分の語学の問題」→「日本人の説明が悪い」へ
内心、私はこう思っていました。
「いや、それって……日本人のせいじゃなくて、自分の日本語の問題じゃないの?」
店員さんは明らかに丁寧に説明してくれていました。
それでも通じなかったのは、聞き取り(=リスニング)力の問題でしょう。
それでも妻は、「日本人の店員=わかりにくい、だからダメ」という結論にたどり着いていました。
こうして、話の焦点は自分の問題から「日本人のせい」へとすり替えられていたのです。
すり替え②「確認された」→「いじめられた」
その後、手続きが進む中で、日本人の女性店員が中国人スタッフに確認の声かけをしました。

「大丈夫?何をやってるの?」
それを聞いた妻が私に言った言葉が、さらに衝撃的でした。

「中国人がいじめられた」
一瞬、言葉を失いました。
確認作業の一環にすぎないはずの言葉が、「差別的ないじめ」として解釈されていたのです。
図解「すり替え」が起こる構造とは?
以下の図をご覧ください。
現実の出来事 | 主観的解釈(すり替え後) |
---|---|
日本語が聞き取れなかった | 日本人の説明が悪い |
店員に確認された | 中国人がいじめられた |
丁寧な説明が理解できなかった | 日本人は外国人に不親切だ |
自分の日本語力に問題があった | 相手が配慮しなかった |
このように、事実と感情が混ざると「すり替え」が発生します。
そして中国人の場合、それが文化的にも自然な反応であるケースがあるのです。
なぜ「すり替え」が起きるのか?
中国では、「負け」を認めること=恥という文化が強く存在しています。
そこで働くのが「精神勝利法(せいしんしょうりほう)1」という考え方です。
現実に負けたとしても、「私は本当は勝っている」と信じ込むことで、心の安定を保つ技術。
この思考法が、中国では無意識に根付いています。
この思考は意図的ではなく、感情的・反射的に働くことが多いです。
- 謝らない
- 自分の非を認めない
- 他人を理由に話をずらす
これらは「責任回避」ではなく、プライドを守る文化的な戦略ともいえるのです。
図解②「主観的勝利」への流れ
ステップ | 心の中で起きていること | 解説 |
---|---|---|
① 事実認識 | 「説明が理解できなかった」 | 実際には日本語の聴き取りが難しかった(自分の日本語力が不十分だった) |
② 自己否定感 | 「自分がダメだったのかもしれない…」 | プライドが揺らぐ、劣等感が刺激される(「自己否定の感情が生まれる) |
③ 感情的抵抗 | 「でも、それは認めたくない」 | 負けを受け入れることへの拒否反応(プライドを守るため) |
④ 認知の再解釈 | 「日本人の説明が悪かった」「日本人は冷たい」 | 現実を「都合よく」置き換えて感情を守る(解釈のすり替えが起こる) |
⑤ 主観的勝利 | 「自分は悪くない。むしろ相手が悪い」と思い込むことで心の安定を保つ | 自尊心を保ち、精神的な勝利を得る(主観的な勝利が得られる) |
この流れは意図的に計算して行われるわけではなく、反射的・感情的な反応であることが多いです。
そのため、外から見ると「責任転嫁してる」「逆ギレしてる」に見えても、本人にとっては「自分を守るために必要な思考回避」であることもあります。
この構造を理解しておけば、「いきなり責められた」と感じたときにも、冷静に対処しやすくなります。
文化としての勝ち負けと誤解の連鎖
このような「すり替え」は、日本人から見ると責任転嫁に見えるかもしれません。
でも中国人にとっては、「プライドを守るための防衛反応」なのです。
加えて、中国では学校での愛国教育2やSNSでも「外国人に軽く見られるな」という価値観が刷り込まれていることがあります。
この影響から、少しの注意や確認でも「いじめられた」と感じてしまう感受性の高さにつながっている場合もあります。
最近ではSNSではこんな「私たち中国人がいじめられたから、日本人に仕返ししてやった」系の動画が拡散されています。
図解③表と裏のすり替え例(文化的視点)
日本人側の意図 | 中国人側の解釈 | 背景となる文化要因 |
---|---|---|
確認のために声をかけた | 上司が部下を叱責した(いじめ) | 上下関係を重視する社会では、公開の注意=屈辱 |
わかりやすく説明した | 自分の能力を否定されたと感じる | 面子3(プライド)を失いたくない意識 |
日本語が伝わらなかった | 日本人が外国人に冷たい | 国際対応への期待値が高い |
日本人ができる3つの対処法
では、こうした「すり替え」や「精神勝利」とどう向き合えばいいのでしょうか?
私がたどり着いた結論は、以下の3つです。
① 話がズレたら、そっと主語を戻す
「話してたのは◯◯のことだったよね?」
→すり替えが起きたら、相手を責めずに話題の中心を戻す。
② 感情を否定せず、事実と切り分ける
「そう感じたのは理解できる。でも、実際にはこうだったよ」
→相手の主観を受け止めつつ、客観的な事実を添える。
③ 「勝ち負け」で会話をしない
→「論破」や「正しさの証明」ではなく、「すれ違いを減らす」ことを目指す。
あなたの周りにもいませんか?
- 自分のミスなのに、他人のせいにしたがる人
- 注意されると「攻撃された」と受け取る人
- 主語をすり替えて、責任を回避する人
それ、本当に無責任な人なのでしょうか?
もしかしたら、文化的な「勝ち方」が違うだけなのかもしれません。
私がこの記事を書いた理由
私は中国人を責めたいわけではありません。
ただ、こうした違いを事前に知っておけば、怒りや誤解を減らせると信じているからです。
日本人にとって、一番のストレスは「未来が読めないこと」です。
「次、どうすればいいかわからない」ことがつらい。
だからこそ、この記事が少しでも予測できる未来の助けになればうれしいです。
📢 X(@ST__Culture)では、こうしたリアルな異文化体験を日々発信中です。
「感情でぶつかる前に、文化で受け止めたい」と思ったら、ぜひフォローしてチェックしてみてください。
コメント